2008年09月30日

手柴ss(別冊2多少ネタバレ有り。未読の方はご注意)

この男は、あたしを何度絶句させたら気が済むのだろう。


「明かり、消すぞ」
背後から掛けられた声と共に部屋がほんのりと闇に包まれる。先にシーツにくるまっていた柴崎の背中から覆いかぶさるように、今夜も当たり前のように伸ばされた腕。
事務職とは明らかに違う、指先の皮膚まで硬くなった男の腕は、けれどその表面の硬さを裏切るかのようにふわりと、そう、まるで産まれたての仔犬を抱き上げるかのような繊細な柔らかさで柴崎の素肌に触れてくる。
胸の中に抱きすくめられると、備え付けの男性向シャンプーの香りが柴崎の鼻先をくすぐった。


男と女、その先を、知らないわけではないのに。


手塚は、柴崎を、抱きしめるだけだった。


もう何度目だろう、こんな寝苦しい夜を過ごすのは。
別に寝るのが嫌だと言った覚えはない。例の事件以来、周囲でも手塚と柴崎は完全に公認の仲となり、時々二人で休みがあった時はこうして一緒に時を過ごすようになった。
キスは何度もした。手塚は冷静沈着のようでいて、実は直情で強引なところが柴崎の前では隠しきれないから、目を見れば手塚がキスをしたいタイミングは柴崎にはいつでも簡単に分かってしまう。柴崎から唇を寄せると、最初は少し戸惑って、けれどすぐに熱い唇と舌が柴崎の総てを貪るように強く重ねられる。
柴崎はそんな手塚がむしろ好ましかった。可愛い男だ。あたしが惚れた、強くて、頭が良くて、優しくて、熱くて、そしてあたしに夢中だと言ってくれる。
愛しい、男。


なのに、キスから先へは進まない。
せっかく二人でこうして同じベッドの中、相手の脈動さえ分かる程に体温を重ねているのに、手塚は柴崎を抱きしめて、朝迄そのまま眠ってしまう。時折、寝入る前戯れのように柴崎の頬や頭に軽くキスを落としたり、何度も抱きしめては好きだ、と囁いてくれることもあるけれど。
手塚の目はただ、柴崎が愛しいと言っているけれど、それより先が全く読めない。
一体何を考えているのだろう。
あたしがあんな目にあったから?けどあんたはあの男とは違う。そんなことはこのあたしが一番良く分かってる。嫌なら自ら肌を晒したりなんてしない。
その意図を考えているうちに寝付きのいい手塚はあっという間に寝入ってしまい、そして柴崎は、朝迄うつうつとこの理不尽な状態に悩んではため息を洩らすのだ。


「ちょっと」
「…んん?」
「ねえ、手塚、もう寝ないでってば!」
手塚の返答が既に怪しい。柴崎は手塚の腕と身体に絡み付くシーツの中で格闘し、なんとか身体を捩らせて手塚の顔を真正面から覗き込んだ。
フットライトだけが灯った空間は月明かりの夜によく似ている。ほんのりと照らし出された手塚の肩の輪郭がとても奇麗で思わず見とれたくなるけれど、今はそんな場合じゃない。
「ねえ、ちょっと、今日もこのまま寝る気?あんたちょっと…何考えてるのよ」
馬鹿、と最後に小さく呟いて付け足してしまったのは余分だった。強く問いつめる気だったのに、いくらあたしだってこんなことオンナの側から言うのもなんだけど、という照れが最後にしっかりと出てしまった。悔しい。
手塚は相変わらず冷静な表情だ。つ、と手を伸ばされて、指先が頬を滑った。ついばむような優しいキスが唇に落とされる。
「可愛いな、麻子は」
「っ…そうじゃなくて!」
こんな場合、郁ならどうするだろう、とふっと考えた。照れながらも直球ストレートで問いつめる、か。涙のオプション付。そこ迄考えて、あたしの柄じゃないな、と柴崎は心の中で首を振った。
至近距離で手塚の目を覗き込む。
「ねえ、どうして抱かないの?」
思ったより冷静な声が出た。その声に手塚は小さく笑った。
「お前、そう言う事聞くの反則」
「なんで?」
「分からない?」
手塚の声は優しい。二人きりの時は、このままこの声を聞きながら眠りに落ちてしまいたいと望む程に、シーツ越しの体温と同じように、本当に、本当に優しい。
だから、あたしも、多分とても優しい声になる。感化される。
「うん、わかんない」
あたし、子供みたいな甘ったれた声だと柴崎は思った。
「もうちょっとだと思うんだけど、無理させたくないし」
「無理?何?」
「おまえ、本当に気づいてないんだな」
手塚の指が柴崎の露になった胸元から下へゆっくりと肌を撫でていった。思わず小さな声が出る。
「分からない?お前、まだ怖がってるよ。お前の側にいるから、こうして触れる距離にいるから俺は分かる。俺に心を許してくれてるのは分かってるけど、でも、お前の中であの事件はまだ完全に終わっちゃいないんだ」
「…そ、んなことない、メンタルケアの先生ももう大丈夫だって…!」
「お前いいかっこしいだからな、どうせ先生の前でもかっこつけたに決まってる。分かるんだよ、俺には」
そう言う手塚の目は笑っていなかった。
「…あんたバカ。ホントーにバカ。バカすぎて笑っちゃう」
「うん、俺もそう思う。けど、俺たちはまだ先があるからさ」
時間もあるから。
ゆっくりと、もう少しだけ、ゆっくりと。
「まあ、そんなに長くないよ」
「そうなの?」
ああ、と手塚が頷いた。
「俺の理性もあんまり長く保たないし、まあもうちょっとだけ」
その手塚の表情がちょっと情けなかったので、柴崎は堪えきれずに笑った。こんなに心の底から笑ったのは久しぶりだということに気がついたのは、朝ごはんを食べている時になってからだった。
「どうした?」
「あ、ううん。ねえ、映画見たい。すっごいバカバカしいの」
今日の予定は決まっていない。手塚が携帯を取り出して一駅向こうの映画館の上映スケジュールを確認している。
もっと、笑って、思い切り笑って、そして二人で幸せになるのだ。



*********************************

先日アップしたイラストのお話。別冊2を読んで最初に思った話。なんつーかね、あの話は最後めでたしめでたしで突っ走ったけど、ひとのココロってそんなに簡単じゃないと思うのよ。まあページ数の都合もあるでしょうしそこは勝手に補完しろという行間に込められたメッセージを受信してみました!
未遂なのでバナーのお色気に気持ち申し訳ないです>ハナノリさん<コメありがとうございました!こんな話でーす★

拍手下さる方もホントにありがとうです。正直見て下さる方がいるからまだ続いてる!
ニックネーム みお at 19:39| Comment(0) | ss

2008年09月18日

お久しぶりです

この挨拶も聞き飽き(略

tesiba.JPG


コミスタの鉛筆で描いたら超汚くなりました…(涙)!て、てしばなんですが見える…?見えなかったらスミマセン。
こんな話書きたい予告です。(ホンマかいな!)

「見守り隊」バナー、ハナノリさんがオリジナルを作ってくれた!イエア!もっとヤバい人バージョンも送ってくれたんですが控えめに主張にしてみました。てへ!←郁っぽくかわいこぶってみる
ニックネーム みお at 12:51| Comment(0) | イラスト

2008年08月29日

手柴をこっそり見守り隊

ハナノリさんが野望を実現させたよ!おめ!

とゆーことで「手柴をこっそり見守り隊」
←バナーもらってきました。白バージョンじゃなくて青の方が良かったか??目立たん…!

手柴はね!図書館界の中でもかなり早い時期に萌えていた自信があるぜ。ふっ。
可愛くない柴崎大好き。手塚が幸せにしてあげるといい。手塚も大好きな柴崎と一緒にいて幸せになるといい。
↑こんなレベルでは到底キモい愛ではないと思うの!だからふつーのバナー貼ってみた(笑)


地元の方はすげーーーーー雨でした。朝ママンから「だいじょーぶやった?」との電話があったんですが私は山の上に住んでるのでどう考えても大丈夫だろうよ…。全国見てもすげーーーーーー!皆様無事でしょうか。
ニックネーム みお at 09:25| Comment(0) | 呟き